当院初のオープンシステムで赤ちゃんがお生まれになられました!

赤ちゃんが生まれたい時に生まれたいように生まれたい場所で!と常々おっしゃっていたお二人。どこで産むにしても心も身体も精一杯できるだけ整えてお産に臨む!と素晴らしいラストスパートでした。

去年の夏、初診の時の彼女の第1印象は「根性のある方だなぁ」。臨月に入られて私はそのことを度々思い出していました。

今回、赤ちゃんが生まれるところに選んだのはご自宅ではなく嘱託病院の一室。普段は助産師がご自宅にうかがっての健診ですが、異常がない方でもお産までに数回は必ず嘱託医療機関に受診する決まりとなっています。その病院での臨月健診で、お母さんも赤ちゃんもお元気だけれど、妊娠中期から指摘されていた臍帯の胎盤への付着部位が胎盤の辺縁であることが今までで一番はっきりと超音波検査で見えたのです。それまで、あやしいけれどはっきり見えず、できれば自宅で!とみんな祈るような気持ちでしたが、、、この検査ではっきりしました。お腹の赤ちゃんは病院で生まれたいんだね。先生の丁寧な説明も、今回のお産は「心からリラックスして産める自宅」より「もしもの時に自宅よりもっと早く医療が受けられるここで安心して産む」ことが大切と思える心のこもったお言葉でした。

そうと決まれば、ここ病院でのお産を、自宅ではないけれど限りなく自宅分娩に近づけるように先生、病棟スタッフ、事務の方々とも何度も話し合い、、、入院後異常なく経過されれば、一室お借りして自宅分娩のようにお産を終え、先生にお会いすることなく(バックアアップ体制ではいてくださる)退院させていただける=オープンシステムの契約を結んでいただくことができ、、、その日に備えました。

その間もお母さんは最後まで心身を整えて、ご予定日間近には助産師もびっくりするくらいの素晴らしい仕上がりに!拍手!「根性あるわ~( ̄ー ̄)bグッ!

そしてご予定日、お昼間に健診でお会いし「もう生まれてきてもいいからね~!明日は満月ですね~!いつでも待ってますよ~」などとお声かけして別れた日の夜・・・陣痛が始まりました!いつものご自宅分娩にはない移動~入院を最も良いタイミングで・・・私はいつも以上に緊張しました(^_^;)電話で連絡を取り合いながら、ご家族は夕食や入浴や、、ずいぶん長い時間をご自宅で過ごされました。そして、いよいよ満月に照らされご入院の頃には陣痛は2~3分毎になっていました。先に到着していた私は、お部屋の床にホットカーペット、マットを敷き、バランスボールやクッションを配置、室内灯は消し、枕灯がちょうどいい感じの白熱灯だったのでそれをお借りして間接照明で。お借りした角部屋は暗闇に薄明かりで病院の中ということを忘れるくらい、産婦さんはお産に集中されていました。入院して約3時間、順調な経過でそろそろ排臨(赤ちゃんの頭が見え隠れする頃)と思ったところからは1回の陣痛で、産婦さん曰く、「彼に身体をあずけ、力を抜いたら」つるりと!自分で生まれる場所を選び私たちを導いてくださった賢い赤ちゃんは本当に上手に自分にもお母さんにも余計な負担をかけることなく生まれて来られました。「病院でも・・・私たち家族3人が主体的にお産する」を目標にされていましたが、本当に3人が力を合わせて「主体的に」お産されたと思います!

先生には1泊後退院OKをいただきましたが、居心地の良いお部屋でゆっくり過ごされて4日目にご自宅に3人で戻られました。

やっぱりお家が落ち着きますね!妊娠中から献身的なお父さんのおかげでお産後も母子ともにヌクヌクと♡ お産後の過ごし方もとても重要です。

妊娠・出産・育児って理想とは違うこと、どんなに努力しても叶えられないこともあって、その都度壁にぶち当たったり崖から落ちそうになったりするけれど、お互いを受け入れ尊重し合い、最後は一番良い方向に向かっていければ、それは大切な経験になります。小さな命はいつでも私たちに初めての経験、新しい経験、大切な経験をさせてくださいますね。それはご縁をいただいた助産師も同様です。経験しながら成長させていただきます!ありがとうございます。

このような機会を与えてくださった赤ちゃんとご家族、それから嘱託医療機関の先生、病院のスタッフの皆様に心からお礼申し上げます。